ねぇ、貴方は何を求めているの?

まぶしい太陽。そして、その光を受けて輝く金髪。
「貴方は何を求めているの?」
その唇からこぼれる声は、冷たく私の心に響く。
「…求めているものなど…、ない」

矛盾している。 求めているものがない、そんな生き物がいるというのか。
無為な時間に身を縛られていたとしても、食を、安眠を求める生き物に、求めないものがないはずなど…あり得ない。
「…そう。私は私であることを求めるわ。貴方が、『ザトーがある』ことを求めるように、ね」

ふと目が覚めた。
誰もいない。
月が雲に覆われた闇夜では、生命の音一つ聞こえない。
暗闇の中に自分が一人で存在することの、恐ろしいまでの孤独感。

顔にかかる前髪を無造作にかきあげた。
額にしっとりと汗をかいている。
指先についたその滴は、儚く空気と混ざり合っていく。
乾いた指先を見つめながら、ふと思った。

「…求めることを、求めているのかも知れないな」
何かと混ざり合える自分を。
自分を自分と認識させてくれる何かを。
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prezented by Akasa Rira 2002